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【弁護士が解説】白ナンバーの使用事業者のアルコールチェック義務化について

1 はじめに

(1)規制強化

今般、2022年4⽉1⽇より、道路交通法施⾏規則が改正され、運送事業者以外のいわゆる「⽩ナンバーの使⽤事業者」のうち「⼀定の事業者」にもアルコールチェックが義務化されております(同施⾏規則第9条の10第6号・第7号新設)。

(2)きっかけ

2021年6⽉に千葉県⼋街市で発⽣した交通死亡事故です。これまで、安全運転管理者に対しては、「運転前」において「運転者が飲酒により正常な運転をすることができないおそれがあるかどうかを確認すること」等が義務付けられておりました(同条第5号)。

ただ、運⾏管理者と異なり、「運転後」において酒気帯びの有無を確認することや「その確認内容を記録」することは義務付けられておらず、また、確認⽅法についても具体的には定められていませんでした。

本改正により、安全運転管理者が、運転前後の運転者に対し、「酒気帯びの有無について運転者の状態を⽬視等で確認」するほか、「アルコール検知器を⽤いて酒気帯びの有無の確認等を⾏うこと」、これらを記録化し、1年間保続することとされました(同条第6号・第7号)。

このうち⽬視等により運転者の酒気帯びの有無について確認を⾏う等の規定については本年(2022年)4⽉1⽇に施⾏されております。また、アルコール検知器の使⽤に係る規定については本年10⽉1⽇に施⾏されます(本稿では、主として4⽉1⽇施⾏に係る規定を取り上げます)。

本改正は、運送事業者だけでなく、「⼀定台数以上の⽩ナンバーの使⽤事業者」であれば適⽤されることから、まずは⾃社への影響の有無を含め注意する必要があります。

 

2 安全運転管理者の選任義務

「⼀定台数以上の⾃動⾞の使⽤者」は、⾃動⾞の安全な運転に必要な業務を⾏わせるためその使⽤の本拠ごとに安全運転管理者や副安全運転管理者を選任しなければならないとされています。このうち、安全運転管理者については、以下の事業所(⾃動⾞使⽤の本拠)ごとに1名を選任することとされています。

「乗⾞定員が11⼈以上の⾃動⾞にあっては1台以上」

「その他の⾃動⾞にあっては5台以上」

※⾃動⼆輪⾞(原動機付⾃転⾞を除く)は1台を0.5台として計算

※業務で使⽤する⾞両を台数として計算

 

3 安全運転管理者の業務の拡充(酒気帯び確認及び記録保存)

安全運転管理者の業務として新たに次の業務が追加されました。

ア 運転前後の運転者に対し、当該運転者の状態を⽬視等で確認することにより 当該運転者の酒気帯びの有無を確認

イ アの確認の内容を記録し、当該記録を1年間保存

運転前後の運転者に対する確認については、必ずしも個々の運転の直前⼜は直後にその都度⾏わなければならないものではなく、運転を含む業務の開始前や出勤時、及び終了後や退勤時に⾏うことで⾜りるとされています。

「⽬視等で確認」とは、運転者の顔⾊、呼気の臭い、応答の声の調⼦等で確認することをいうとされています。運転者の酒気帯び確認の⽅法については、対⾯が原則とされていますが、対⾯での確認が困難な場合には、これに準ずる適宜の⽅法で実施すれば⾜りるとされています(例えば、カメラ、モニター等で安全運転管理者が顔⾊、応答の声の調⼦等の確認)。

酒気帯び確認の内容の記録については、①確認者名、②運転者、③運転者の業務に係る⾃動⾞の⾃動⾞登録番号⼜は識別できる記号、番号等、④確認の⽇時、⑤確認の⽅法(対⾯でない場合は具体的⽅法)、⑥酒気帯びの有無、⑦指⽰事項、⑧その他必要な事項について記録することとされています。

 

4 罰則

まず、安全運転管理者等を選任しなかった場合、5万円以下の罰⾦(法⼈等両罰)が科される可能性があります。

また、安全運転管理者が酒気帯びの有無の確認や記録の保存を怠った場合は、(直接的な罰則は設けられておりませんが、)安全運転管理者は、⾃動⾞の安全な運転に必要な業務(今般の酒気帯びの有無の確認及び記録の保存もこれに含まれます)を⾏わなければならないとされており、公安委員会は、違反があり、⾃動⾞の安全な運転が確保されていないと認めるときは、⾃動⾞の使⽤者に対し、当該安全運転管理者の解任を命ずることができるとされ、この公安委員会の命令に従わなかった場合、5万円以下の罰⾦(法⼈等両罰)が科される可能性があります。

 

5 実務対応

本改正は、安全運転管理者の選任が義務付けられた事業所が対象となりますので、まずは安全運転管理者の選任義務があるかどうかを確認し、選任義務があると認められる場合は、①安全運転管理者の選任、②安全運転管理規程の整備、③酒気帯びの有無の確認及び記録の保存の実施等が必要と⾔えます。(当事務所で安全運転管理規程整備等もフォローしております)。

 

6 最後に

今後も法改正情報や重要判例、重要トピックス等、情報提供していきたいと考えております。法改正の内容具体的な対応⽅法、
あるいは既に施⾏済みの法律にまだ対応できていないといったご相談がありましたら、お気軽に弊所へご相談ください。