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問題社員タイプ② 勤怠不良型(bad attendance)

勤怠不良型とはどんなタイプか。

能力不足タイプとは異なり、遅刻・早退・欠勤などを繰り返す問題社員の類型です。

ちなみに、「欠勤」は、類似の概念である休暇(有給休暇等)とは異なりますので注意が必要です。休暇に労務提供義務はありません。

また、「欠勤」といっても、その言葉の定義があいまいになっている方も多いのではないでしょうか?無断欠勤は文字通り「届け出のない欠勤」だけでなく、「届け出があっても正当な理由のない欠勤(仮病などおよそ正当な理由のない欠勤)」を含む(炭研精工事件/最判H3・9・19)とされています。法律上の意味合いとしては、労務契約との関係では、原則として「債務不履行」にあたりますが、懲戒事由となりうるものです。 カルティエジャパン事件(東京地判H11・5・14)では、「(職務懈怠は)・・・一種の債務不履行(不完全履行)としての側面を備えているが、・・・他の従業員の士気にも影響を及ぼし、企業秩序を乱す・・・懲戒解雇事由に該当・・・」というフレーズが使われています。

なお、賃金との関係でいえば、ノーワークノーペイ(遅刻・早退・欠勤分の控除(日給月給の場合)であるとされています。

(1)企業の対応

改善措置を行っても改善しない場合の対応としては、大きくは以下の対応があります。

①人事考査上の対応(人事考査等における対応。降給・降格・減給・賞与査定減額など)

②退職以外の各種懲戒処分

③退職(ほかに普通解雇・懲戒解雇・有期雇止など。行方不明の場合の自然退職も)

(2)参考裁判例

*普通解雇のリーディングケースとしては、高知放送事件(最判S52・1・31。勤怠不良事案)が有名です。

2度の遅刻を理由とするアナウンサーに対する解雇事案で、 「普通解雇事由がある場合においても、使用者は常に解雇しうるものではなく、当該具体的な事情のもとにおいて、解雇に処することが著しく不合理であり、社会通念上相当なものとして是認することができないときには、当該解雇の意思表示は、解雇権の濫用として無効になる」という判断となりました。

 

■解雇有効例

 

■解雇無効例

裁判所の傾向として、無断欠勤については、一定レベルを超えると有効可能性が高くなる(ただし、メンタル不調事案に注意)傾向にあります。

*通達 【昭和23.11.11基発第1637号、昭和31.3.1基発第111号】)「原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合」

遅刻早退については、無断欠勤と合わせた判断がほとんどです。「欠勤+7割」などが目立つフレーズとしてポイントとなっています。

 

裁判所の考え方

白い本(労働関係訴訟の実務):

「・・・解雇権の行使は、①労働契約のような継続的な契約関係が労働者の債務不履行等によって破綻していることを理由に、これを将来に向かって一方的に解消する手段であって、②労働者に対して大きな人的・経済的不利益を与える危険性を有している。そこで、解雇権の発動にあたっては、債務不履行的事情(債務不能的事情、不完全履行的事情)の存否という形式的観点に加え、より実質的に、雇用契約の本質から導かれる法原則(①将来的予測性の原則、②最終的手段の原則)を併せ考慮する必要がある・・・」

つまり、「その程度や性質を検討し,当該病気等が労働義務の履行を期待することができないほどの重大なものであるか否か(将来的予測の原則),当該事案の解雇事由の内容・性質と程度に応じた解雇回避措置があるか否か(最終的手段の原則)」を検討し,それが認められた場合に,当該解雇事由に該当すると判断されます。

裁判所は「ぎりぎりまで説得・努力し、雇用維持の努力したか、早くやめさせたか」というところを見ていると言えます。

(3)企業は、勤怠不良者への対応をどう行うか

裁判所では、以下のようなケースでは、解雇の正当性がない(無効)と判断しています。勤怠不良型のタイプの問題社員の対応を考える際、参考にしてみてください。

①就業規則に該当していない

②期間が短い(例:欠勤6日)

③遅刻があっても会社が問題視している様子がない

④注意指導が十分でない、注意指導した証拠がない

⑤反省している様子がある

⑥業務に支障が乏しい

⑦他の評価が高い(表彰、役職アップ)

⑧精神疾患などが理由(会社が考慮・対応していない)

⑨震災などが理由

 ➡ ①将来的予測性の原則、②最終的手段の原則 の欠如=相当性が欠如していると判断されています。

 

反対に、以下のケースでは、解雇が有効と判断されています。

①相応の日数・割合の欠勤や遅刻が認められる

②適確に注意指導をしている

③他の問題行動もある(併用型)

 ➡ ①将来的予測性の原則、②最終的手段の原則 の充足=相当性充足へ→解雇事由に該当すると判断されます。

 

このように、問題社員を解雇するのは,解雇権濫用法理により解雇が無効とならないようにしなければならず、慎重な対応が必須です。

解雇・退職勧奨には専門的な知識が必要です。まずは弁護士にご相談ください。

当事務所は、使用者側(経営者側)専門の法律事務所として、これまでに数多くの労働問題を解決した実績を持つ法律事務所です。労務問題に関する講演も多数行い、問題社員対応、残業代請求、団体交渉、労働組合対策、ハラスメントなど企業の労務問題に広く対応しております。
初回相談料は無料ですので、まずはお気軽にご相談ください。

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