問題社員対応概要
~近時の傾向を踏まえた、押さえておくべき問題社員対応~
Ⅰ 導入(問題社員問題の実際)
1 統計
- ~労働トラブル(総合労働相談)は9年連続100万件超
(2017年6月16日公表(平成28年度個別労働紛争解決制度の施行状況)
- ハラスメント、退職トラブルが多くを占める
- 労働裁判:「労働訴訟事件数推移(東京地裁労働部担当数)
- 年間1000件程度で横ばい
- 労働審判:「労働審判事件数推移(東京地裁労働部担当数)
- 年間1000件程度で横ばい
- 類型は、解雇5割、残業代3割、その他2割(ハラスメント含む)
- 労働相談数、労働訴訟数等も、相談件数、事件数は高水準で推移。
- 紛争としては、解雇、残業、ハラスメント関連が多い(特に裁判所案件)。
- 企業の「生産性向上」のためにも、職場においていかに従業員の生産性を向上させるとともに、生産性や企業秩序にマイナスな者(いわゆる「問題社員」の問題行動等を改善し、最悪の場合、解雇するかが不変のテーマ。
- 「中小企業」にとっても、かなりの確率で相当悩んでいる。
(cf電通事件、無期転換問題等における社長の初期反応「うちは関係ない、大企業の問題」)。
2 よくある問題社員の行動(1)
- 解雇してないのに「解雇された」と主張し出社しなくなり、バックペイを求める社員
- 「有給消化」と言ってたのに、「解雇された」としてバックペイを求める社員
- 「失業給付をもらうために、離職票に解雇と書いてほしい」と言われ、解雇処理をしたら、「解雇無効」を言い出す社員
- ダラダラと仕事をして遅い時間まで会社に残り、残業代を請求する社員
- 注意指導すると「パワハラだ」と言って従わない社員
- 金銭を着服・横領したり出張旅費や通勤手当を不当取得する社員
- 精神疾患を発症して(したとして)欠勤や休職を繰り返す社員
- ソーシャルメディアに問題映像を投稿する社員
- インターネットを使用して会社、上司、同僚を誹謗中傷する社員
- 子会社をまかせていたら(代表取締役)、パワハラと主張してくる社員
3 よくある会社側の問題行動
- 問題社員がいても注意書も警告書も何もなく我慢の限界に達していきなり解雇し、その後、専門家に相談する会社
- 10名超えたので、「就業規則を整備しましょう」という言う話になり、確認事項や文案を送っていたが、会社から返事がない最中、最近、解雇した社員が労働審判で「帰ってきた」
- ハラスメントを行う社員がいるが、「彼は営業のエースだから」といってみて見ぬふりをする会社
企業は「問題社員」問題にどう対処すべきか?
- 人が複数いる以上、問題社員が発生することは、ほぼ不可避。
- もめる事案、もめる社員を把握し、類型ごとにポイントを押さえた適切な対処がポイント。