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【弁護士が解説】契約書における遅延損害金年率とは?

 弊所では契約書・利用規約の作成やレビューに関するご相談を多くいただいておりますが、業種を問わず、よく上がるご質問の一つとして、 

「契約書にある遅延損害金の定めを削ってもよいのか?」

「遅延損害金の年率14.6%の根拠って何?」

といったご質問がございます。

 契約書業務に関連して、契約書や利用規約における遅延損害金の役割や実際の効能といったあたりについて、近時の民法改正の点も含め、解説いたします。

 

1.遅延損害金とは(利息との違い)

そもそも利息・遅延利息・遅延損害金とは何を指すのでしょうか? もっともわかりやすいのは、ローン(貸金)です。

「利息」:金銭債務(元金)に対して、期間ごとに生じる対価

「約定利息」:利息を設定する場合、約定通り支払っていても生じる利息

「遅延利息(遅延損害金)」:約定通り支払わなかった場合に生じる損害金を指します。便宜的に、遅延利息・延滞利息などと呼ばれますが、同じものです。

 その本質は、「遅延」した場合生じるということにあります。要は、遅延がなくても生じうるのが利息、遅延が生じた場合に生じるのが、遅延損害金といえます。

 なお、約定利息と遅延損害金は同じ時期にどちらかのみで、同時発生はしません。

 なお、普段はあまり意識しませんが、 商取引の区分としては、A 物やサービスの提供、B 金額支払とがありますが、遅延損害金が問題となるのは特にBの支払義務違反です。

 

2.遅延損害金の定まり方(約定or法定)

 利息は、①当事者間に合意がある場合はその合意に従い(=約定利率)、②合意がなければ法律で定める利率(=法定利率)によることとされています。

 遅延損害金も同様に、 ①当事者間に合意がある場合はその合意に従い(=約定利率)、②合意がなければ法律で定める利率(=法定利率)によるとされています。

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(金銭債務の特則)

第四百十九条 

 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。

 前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。

 第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。

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 言い回しはわかりにくいですが、合意で定めれば合意によること、しかも、金銭債務の損害金は「立証を要しない」(所定の利率通りに請求できる)という点がポイントです。

 

3.遅延損害金の合意が「ない」場合の利率(法定利率)

遅延損害金の合意がない場合の利率(法定利率)はどうでしょうか? この点は、民法改正が影響しております。

 

(1) 法定利率の引下げ(民法改正)

 法定利率については、法定利率が市中金利を大きく上回る状態が続いていたことを踏まえ、民法(債権法)改正により、2020年4月1日から、年5%→年3%に引き下げられました

 

(2) 緩やかな変動制の導入(民法改正)

 また、法定利率を固定のものとすると、将来、市中金利と大きく乖離する事態が生ずるおそれがあることから、改正法は,法定利率を3年ごとに見直すこととしました。

 具体的には、3年を1期として、期ごとに市中の金利水準を踏まえた基準割合を算出、変動することになります。

 このため,改正法の施行から3年後の2023年4月1日以降の法定利率は、3%から変動する可能性があります。

 

(3)  商事法定利率の廃止(商法改正)

 さらに、商事法定利率は廃止されることとなりました。 

 これにより、商行為によって生じた債務についても、民法に規定する法定利率が適用されることになります。

 

(4)  法定利率のまとめ

 各期間における遅延損害金の法定利率を整理すると、次のとおりです。 なお、遅延損害金の法定利率は、契約日ではなく、債務不履行(履行遅滞)となった時点が基準となります。

 

・2020年3月31日までに履行遅滞があった場合= 法定利率は年5%(商事の場合は6%

・2020年4月1日から2023年3月31日までに履行遅滞があった場合 = 法定利率は年3%

・2023年4月1日以降に履行遅滞があった場合=未確定(変動の可能性あり)

 

4.遅延損害金の合意が「ある」場合

 他方、当事者間に遅延損害金に関する合意がある場合ですが、「口頭で利率を合意すること」は通常ないと思いますし、争われた場合、エビデンスの提出が難しいと思われますので、実際は契約書や規約に定めることとなります。

 契約書や規約などで遅延損害金の利率を記載した場合は、その利率の遅延損害金を請求することが法的に可能となります(もちろん、利息制限法の上限規制などはあります)。

 

5.【14.6%】とは?

 遅延損害金の約定利率は、実務上、「14.6%」とすること多いですが、「14.6%」が多い根拠・理由ですが、ひとつには、国税通則法に定められた国税の延滞料率が年14.6%であることに準じるといった説明が多いようです 。

 また、そもそもの生い立ちとしては、日歩4銭(100円に対して1日あたり4銭(0.04円)=年14.6%)といったことが言われております。

 実際、他の法令、たとえば、消費者契約法では、消費者契約(≒事業者と消費者との契約)では、「消費者の金銭支払の遅延損害金は、14.6%を超えることは不可(無効)」とされておりますが、その説明として、「世間で使用されている契約書でかなりのものが年14.6%(又は14.5%)とされており、民事上の契約においては、遅延損害金の限度としてこの基準が一種の慣習として定着し、一般的に許容される限度として受け入れられている」(立法担当者)といった説明がされております。

 

6.遅延損害金を契約書に定める意味・効能

 遅延損害金を契約書に定める意味・効能ですが、大きくは、「代金支払遅延の防止」にあるといえます。

 上記の通り、契約書等に定めがない場合、法定利率が適用されますが、民法改正によって5%(商事6%)→3%へと大きく引き下げられ、その分、それ以上の利率を合意で定める意味は大きくなったといえます。

 

Q.実際、14.6%の支払を受けられるのか?

A.友好的な状況(取引が継続している状況)で、「1日過ぎたから14.6%の遅延損害金をお支払いいただきます」といったやりとりがされているかは、業種等によっても異なると思われます。ただし、貸金業などでは、利息そのものが収益の原点ですので、遅延損害金もシビアに 計算されることが多いと思われます。

 貸金業以外であっても、一般の事業会社や個人などでも貸金を行う場合、約定通りに遅延損害金を請求することは法的にも問題がなく、また、先方にも許容されやすいと思われます。

 また、別類型として、訴訟に至ったようなケースでは、当然、約定通りの遅延損害金を請求するでしょう。

 また、特に強制執行(不動産競売や預金差押え等)のケースでは、裁判所自身が、元本・利息・損害金・強制執行費用などを厳格に区分し、「元本よりも先に遅延損害金を充当」することを認めてくれ、総回収額が増加しますので、約定の遅延損害金の定めがあるかないかで大きな相違が生じます。

 

7.遅延損害金は定めにくい?

 「遅延損害金の項目を定めようとすると相手に悪い印象を与えないか?」といった声もまれにございますが、約定通り支払いがされれば問題ないわけですし、場合によっては、「弁護士が言うので、ご理解を」といった説明も有効かもしれません。

 弊所では、契約書のリーガルチェックを始め、契約書のチェック、レビュー等々も含め、様々なサポートを行っております。ご相談がありましたら、お気軽に弊所へご相談ください。

当事務所の契約書に関するサポートについてはこちら

https://eitai-komon.jp/contract/314

 

Q.契約書チェックの費用はどのくらいかかるのですか。

 

(1)スポットの場合(顧問先でない場合)

 スポットでは1通20万円の費用をいただいております。

理由といたしましては、会社の事情を0からお聞きし、相手先のこと等もヒアリングしたりお調べする必要がありますので、工数が広がります。

他方で、基本的には、納品提供して終了となってしまいますので、その後メンテナンスが必要となった場合は、別途、ご依頼、お見積りいただく必要がございます。

また、ご依頼の際は、都度予約をとっていただき、資料をお持ちいただいてご相談いただく形となります。

そのため、契約書のご相談が継続的にある場合は、顧問契約という形をご提案させていただくことが多くございます。

 

(2)弊所顧問先様の場合

 顧問先様の場合は、料金は基本的には月5万円(スタンダードプラン)からとなっており、顧問先企業様の8割から9割の方はスタンダードプランからのスタートとなっております。

 契約書を日常的に取り交わしていく会社様の場合、ご活用いただくと、法務を強化できます。

 当事務所の顧問契約プランのご案内はこちら

https://eitai-komon.jp/price/3446

 

このテーマに精通した当事務所にまずはご相談ください。